
早稲田大学大学院の菅野寛教授は「パラダイム・シフト:資本主義の次に来るものは?」と題して、インターネットやAI(人工知能)などのデジタル革命がもたらす新しい経済の姿を描く。今、起きているのは「従来型の資本主義を修正する」大きな変化であり、そのインパクトは「200-300年に一度の『パラダイム・シフト』」だという。
18世紀にイギリスで始まった産業革命は、製品をより大量に、より安く、より速くつくることが最大の目標だった。そのために大きな工場、多くの機械、大量の労働者、それらを調達するための巨額の資本を必要とした。だが、デジタル革命がもたらす新しい経済は大量生産による効率化を最終ゴールとはしない。デジタル技術を駆使して消費者ひとり一人のニーズを取り込むオーダーメード型の「多品種少量生産」が主流となるからだ。菅野教授は「(従来の)資本主義の根本原則がことごとく成立しない」という新しい資本主義の誕生を予測する。
言い換えれば自動車などの加工組立型産業が中心の「製造業の時代」から、データや知識などの情報が最重要の生産資源となる「情報産業の時代」へと変わる。京都大学大学院の諸富徹教授は著書の中で「これは資本主義の価値の担い手が、『物質的なもの』から『非物質的なもの』へと移行することを指している」(「資本主義の新しい形」岩波書店、2020年)と語っている。
実際、アメリカ経済が日欧に比べて好調なのは、グーグルやアップルなど巨大情報企業の成長によるところが大きい。もしそうだとすると、製造業の復活を目指すトランプ大統領の関税政策は、資本主義の歴史の歯車を逆回転させようとしているようにもみえる。
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